鍼灸師という職業や資格の取り方について

鍼灸師とは

鍼灸師とは、鍼（はり）や灸（きゅう）を用いて身体の不調を改善するための治療を行う人のことです。この治療方法は東洋医学に由来しており、今から1500年ほど前に日本に伝来して以来、人々の身体的不調の改善のために用いられてきました。人間の自然治癒力や免疫力を高めることを目的とした治療方法で、不調や病気を未然に防いだり、早い段階で改善したりするための予防医学としての役割を果たしています。

鍼灸師の活躍の場はとても幅広くなっています。医療機関や福祉施設、鍼灸院などで治療を行っているほか、自ら開業して治療を行ったり、往診に出向いたりする場合もあります。また、鍼ともぐささえあればどこでも治療を行うことができるのも特徴です。そのため、スポーツの現場や災害の現場でも鍼灸師が活躍している場合があります。

鍼灸師が普段行っている治療には、以下のようなものがあります。いずれの場合も、患者さんとしっかりとコミュニケーションを図り、状態を的確に判断していくことが求められます。

患者さんの状態の判断

鍼や灸をどのように行うかを決めるためには、まず患者さんの状態を判断しなければなりません。患者さん自身の訴えをよく聞くことはもちろんですが、その他にもきちんと根拠のある手法を用いて全身状態を判断しています。その手法にはどのようなものがあるのでしょうか。例えば、脈診や望診などが挙げられます。

脈診とはその名の通り、患者さんの脈拍を診て判断することです。これによって、気の流れや全身のバランスを見極めます。

望診とは、西洋医学で言う視診のことです。患者さんの目に見える部分（表情や顔色、皮膚の状態など）を診ることで、全身の状態を判断します。

鍼治療

鍼(はり)治療とは、患者さんの身体に鍼を刺すことで症状を改善する方法です。ステンレスでできた、注射針と比較しても非常に細い鍼を、身体の各所に360か所以上ある経穴（ツボ）に刺し入れてわずかな刺激を与えます。その刺し方は患者さんの状態によって様々です。短時間だけ刺してすぐに抜く場合もあれば、10～15分ほど刺したままにすることもあります。また、刺した鍼にわずかな電流を流す場合もあります。用いる鍼の太さや、刺し込む深さなども患者さんの状態にあわせて変えます。

灸治療

ヨモギの葉でできた「もぐさ」と呼ばれるものを、経穴の上で点火させ、熱による刺激を与えることで症状を改善する方法です。経穴に直接もぐさを乗せて点火する直接灸と、ニンニクやショウガなどを間に挟んで点火する間接灸があります。使用するもぐさの種類や、直接灸と間接灸のどちらを用いるかなどは、患者さんの状態によって判断します。

鍼灸師になるための資格

実は、「鍼灸師」という資格は、日本の制度上存在していません。「あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師等に関する法律」によって、「はり師」と「きゅう師」という資格がそれぞれ存在しているのですが、鍼灸師とはこれらの資格をあわせた呼び名です。

資格は2つに分かれていますが、同じ養成施設で決まった単位を取得して卒業することで、両方の国家試験を同時に受験することが可能になっています。そのため、2つの資格を同時に取得している人が多く、そのような人を鍼灸師と呼んでいるのです。

資格を取る方法

鍼師と灸師の資格を取得する方法は、大きく分けて2つあります。まず、厚生労働省が認可した3年間の養成施設で指定された科目を学ぶ方法があります。そして、文部科学省が指定した大学で所定の科目を履修する方法があります。

いずれの場合でも、解剖学や生理学、病理学、東洋医学概論、リハビリテーション医学など、医学について幅広い専門的知識を身につける必要があります。また、実際に治療を行うための技術も、鍼灸実技などで磨いていくことが求められます。

養成施設や大学を卒業すると、鍼師と灸師の国家試験を受験することになります。これらの国家試験は毎年2月に筆記試験が行われ、合格すれば晴れて鍼灸師としてのスタートを切ることができます。

まとめ

ここまで、鍼灸師がどのような場所にいてどんな治療を行っているか、また、鍼師と灸師の資格を取るためにはどのような学び方があって、費用がどれだけかかるかなどを紹介してきました。鍼灸師はこのような学びを経験して資格も取得したうえで、自らの技術を常に高めながら日々現場で活躍しているのです。

富士見町fine整骨院・マッサージ鍼灸院には、鍼師と灸師の国家資格を持ち、技術も確かな鍼灸師が在籍しております。身体の不調でお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。